賃貸の部屋探し、不動産屋を何件も回るのは大変ですよね。「平均で何件くらい回るの?」「1件だけで決めて後悔しない?」と不安な方も多いはず。結論から言うと、不動産屋を回る件数は1件で十分です。この記事では、平均訪問件数のデータと共に、物件情報は共有されているため1社で問題ない理由を徹底解説。良い物件を見逃さず、時間と労力を最小限にするための不動産屋選びのコツや効率的な探し方も分かります。
賃貸探しで不動産屋を回る平均件数はどれくらい?
「理想の部屋を見つけるためには、一体何件の不動産屋を回ればいいんだろう?」賃貸物件を探し始めると、多くの人がこの疑問に直面します。時間も労力も限られている中で、最適な物件と出会うための効率的な方法を知りたいと思うのは当然のことです。この章では、実際のアンケート調査の結果を基に、不動産屋を回る平均的な件数や、訪問件数と満足度の関係について詳しく解説していきます。
アンケートで見る不動産屋の平均訪問件数
結論から言うと、賃貸物件を探す際に訪問する不動産屋の平均件数は「1〜2件」が最も多いという調査結果が複数の機関から出ています。 例えば、株式会社リクルートの調査によると、2021年度の平均訪問店舗数は1.6店でした。 10年以上前の2008年度の平均が2.7店舗だったことと比較すると、訪問件数は年々減少傾向にあることがわかります。
以下の表は、ある調査における訪問件数の内訳をまとめたものです。
訪問件数 | 割合 |
---|---|
1件 | 約48% |
2件 | 約17% |
3件 | 約11% |
4件以上 | 少数派 |
(SUUMOの調査データを基に作成)
この結果から、約半数の人が最初に訪れた1件目の不動産屋で物件を決めていることが分かります。 また、複数回った人でも2〜3件が一般的で、4件以上回る人は少数派です。 この背景には、インターネットの普及が大きく関係しています。不動産ポータルサイトで事前に物件情報を詳細にリサーチし、ある程度候補を絞り込んでから不動産屋を訪問する、というスタイルが主流になったため、少ない訪問件数でも効率的に部屋探しができるようになったのです。
1件で決めた人と複数回った人の満足度に違いはあるか
「訪問件数が少ないと、良い物件を見逃したり、担当者に言われるがまま契約してしまったりしないか不安…」と感じる方もいるでしょう。しかし、訪問件数の多さが必ずしも満足度の高さに直結するわけではありません。
1件で決めた人の多くは、訪問前に十分な自己分析と情報収集を行っています。希望条件が明確で、相場観も把握できているため、信頼できる担当者から希望に沿った物件を提案されれば、迷わず決断できるのです。良い担当者や人気物件との出会いはタイミングも重要であり、「すぐに決めないと他の人に取られてしまう」という状況で迅速に決断できた結果、満足度の高い部屋探しにつながるケースも少なくありません。
一方で、複数の不動産屋を回ることにもメリットはあります。
- 複数の担当者から話を聞くことで、より客観的な視点で物件を判断できる
- 担当者との相性を比較し、最も信頼できる人を選べる
- 希望エリアの家賃相場をより正確に把握できる
複数の不動産屋を回った人は、比較検討を重ねることで「自分で納得して決めた」という満足感を得やすい傾向があります。ただし、多くの店舗を回りすぎると、同じ物件を紹介されたり、情報過多でかえって決められなくなったりするデメリットもあるため注意が必要です。
結局のところ、大切なのは件数そのものではなく、「自分が納得のいく意思決定ができたかどうか」です。1件の訪問でも、信頼できる担当者と出会い、満足のいく物件が見つかれば、それがあなたにとって最適な部屋探しと言えるでしょう。
本当に1件で十分?不動産屋を回る件数が少ないことへの不安を解消
「本当に1件の不動産屋だけで、満足のいく部屋探しができるのだろうか?」多くの方がそうした不安を抱えています。複数の不動産屋を回らないと、もっと良い物件を見逃したり、損をしてしまったりするのではないかと心配になるのは当然です。しかし、ご安心ください。これから、それらの不安を一つひとつ具体的に解消していきます。
不安1 良い物件を見逃してしまいそうで怖い
「1件の不動産屋しか見ないと、その会社が持っている物件しか紹介されず、他の会社が扱うもっと良い物件を見逃してしまうのではないか」という不安は、部屋探しで最もよく聞かれる声の一つです。しかし、現代の不動産業界の仕組みを理解すれば、その心配はほとんど不要であることがわかります。
実は、不動産会社は「レインズ(REINS)」と呼ばれる不動産流通標準情報システムを共同で利用しています。 これは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社専用の物件情報ネットワークです。 大家さんから入居者募集の依頼を受けた不動産会社(元付業者)がレインズに物件情報を登録すると、全国の不動産会社(客付業者)がその情報を閲覧し、自社のお客様に紹介できる仕組みになっています。
つまり、基本的にどの不動産屋に行っても、紹介される物件情報に大きな差はないのです。 もちろん、ごく稀にその会社だけが管理している「自社管理物件」や、広告に出す前の「未公開物件」といったものが存在する場合もありますが、それは全体のごく一部です。複数の不動産屋を回ったとしても、同じ物件を繰り返し紹介される可能性が高いのが実情です。
不安2 担当者の言うことが正しいか判断できない
「1人の担当者の話だけを聞いて、その情報が本当に正しいのか、自分に不利なことを隠されていないか不安だ」と感じる方も少なくありません。確かに、担当者によっては自社の利益を優先し、必ずしもお客様にとって最適とは言えない提案をする可能性もゼロではありません。しかし、これは訪問件数を増やせば解決するという問題ではなく、信頼できる担当者を見極める目を持つことが最も重要です。
信頼できる担当者かどうかを判断するには、以下のポイントをチェックしましょう。
- メリットだけでなくデメリットも正直に話してくれるか:どんな物件にも長所と短所があります。良い点ばかりを強調するのではなく、日当たりや騒音、周辺環境などの懸念点についても正直に伝え、それに対する対策を一緒に考えてくれる担当者は信頼できます。
- こちらの話を親身に聞いてくれるか:こちらの希望条件やライフプランを丁寧にヒアリングし、それに沿った提案をしてくれるかどうかが重要です。こちらの話を遮ったり、希望と違う物件を強引に勧めてきたりする担当者には注意が必要です。
- 質問に対して的確に答えられるか:物件の設備や契約内容、地域の情報など、専門的な質問に対して曖昧な返事をせず、的確に答えられる知識と経験があるかを確認しましょう。
- レスポンスが早いか:問い合わせや質問に対する返信が早いことも、信頼できる担当者の特徴です。
もし担当者の対応に少しでも違和感を覚えたら、無理にその担当者と話を進める必要はありません。担当者の変更を申し出るか、その時点で別の不動産屋を探すという選択肢も考えましょう。
不安3 比較対象がないと初期費用などが適正か分からない
「1社だけの見積もりだと、敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用が相場通りなのか判断できない」という金銭面での不安も大きいでしょう。しかし、これも事前に初期費用の内訳と相場を把握しておくことで解消できます。賃貸契約の初期費用は、一般的に家賃の4〜6ヶ月分が目安とされています。
主な内訳と相場は以下の通りです。複数の不動産屋を回らなくても、提示された見積もりが適正かどうかを自分で判断できるようになります。
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
敷金 | 家賃滞納や退去時の原状回復費用に充てるための保証金。 | 家賃の1〜2ヶ月分 |
礼金 | 大家さんへのお礼として支払うお金で、返還されない。 | 家賃の1〜2ヶ月分 |
仲介手数料 | 物件の紹介や契約手続きを行った不動産会社に支払う手数料。 | 家賃の1ヶ月分 + 消費税(法律で上限額が定められています) |
前家賃 | 入居する月の翌月分の家賃。 | 家賃の1ヶ月分 |
日割り家賃 | 月の途中から入居する場合の、その月の家賃。 | 入居日数分 |
火災保険料 | 火災や水漏れなどに備える保険料。加入が義務付けられていることが多い。 | 15,000円〜20,000円程度(2年契約) |
鍵交換費用 | 防犯のために、前の入居者から鍵を交換するための費用。 | 15,000円〜25,000円程度 |
保証会社利用料 | 連帯保証人の代わりになる保証会社を利用するための費用。 | 初回は家賃の0.5〜1ヶ月分、または総賃料の50%〜100%程度 |
不動産屋を回る件数が1件で十分な3つの根拠
多くの不動産屋を回れば、それだけ良い物件に出会える確率が上がると思っていませんか?実は、賃貸物件探しにおいて、何件も不動産屋を訪問することは必ずしも効率的とは言えません。むしろ、たった1件の不動産屋への訪問でも、十分に理想の部屋を見つけることは可能です。ここでは、その3つの具体的な根拠について詳しく解説します。
根拠1 物件情報は不動産業者専門サイト「レインズ」で共有されている
賃貸物件を探す上で最も重要なポイントは、ほとんどの物件情報が「レインズ(REINS)」という不動産業者専門のデータベースで共有されているという事実です。 レインズは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しており、会員となっている不動産会社だけが閲覧できます。 このシステムにより、どの不動産屋に行っても基本的に同じ物件情報を紹介される可能性が高いのです。
つまり、A社で紹介された物件はB社でも紹介可能であり、C社に行かなければ出会えない特別な物件というのは、ごく一部の例外を除いてほとんど存在しません。複数の店舗を回ることは、同じ物件の情報を異なる担当者から聞くことになり、時間と労力の無駄になってしまう可能性があります。
根拠2 重要なのは訪問件数よりも信頼できる担当者との出会い
物件情報が共有されている以上、お部屋探しの成否を分けるのは「どの不動産屋に行くか」よりも「どの担当者に出会えるか」です。 信頼できる優秀な担当者は、あなたの希望を深く理解し、膨大な物件情報の中から最適なものを提案してくれます。
さらに、良い関係を築くことができれば、「未公開物件」の情報が入った際に、インターネットに掲載される前に優先的に紹介してくれる可能性も高まります。 逆に、何件も不動産屋を回っても、流れ作業のような対応をされたり、希望とずれた物件ばかり紹介されたりしては意味がありません。
信頼できる担当者の見分け方
- ヒアリングが丁寧:こちらの希望条件やライフスタイルについて、時間をかけてじっくりと話を聞いてくれる。
- メリット・デメリットを正直に話す:物件の良い点だけでなく、日当たりの問題や周辺の騒音など、マイナス面も正直に伝えてくれる。
- レスポンスが早い:問い合わせのメールや電話への返信が迅速で、対応が丁寧。
- 無理に契約を急かさない:「今日中に決めないと無くなりますよ」といった言葉で決断を迫らず、こちらのペースを尊重してくれる。
- 専門知識が豊富:物件のことだけでなく、地域の情報や契約に関する専門的な質問にも的確に答えてくれる。
たった1件の訪問でも、このような担当者に出会えれば、他社を回る必要はなくなります。もし担当者との相性が悪いと感じたら、その会社の中で担当を変えてもらうか、潔く別の不動産屋を探す方が賢明です。
根拠3 事前リサーチを徹底すれば訪問の手間は省ける
不動産屋に行く前に、自分自身でしっかりと情報収集と希望条件の整理を行っておくことで、訪問する不動産屋の数を大幅に減らすことができます。 いきなり不動産屋に飛び込んで「良い部屋ありますか?」と漠然と尋ねるのではなく、明確な目的意識を持って訪問することが重要です。
不動産屋は「物件を探しに行く場所」から「リサーチした物件のプロによる最終確認と、非公開情報の提供をしてもらう場所」と位置づけることで、訪問は1件で十分になります。
訪問前にやっておくべき事前リサーチ
- 希望条件の優先順位付け:家賃の上限、希望エリア、間取り、駅からの距離、絶対に譲れない設備(MUST条件)と、あれば嬉しい設備(WANT条件)をリストアップし、優先順位を明確にしておきましょう。
- 家賃相場の把握:SUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトで、希望エリアの家賃相場を調べておきます。 これにより、現実的でない高望みを避け、担当者との会話もスムーズになります。
- エリア情報の確認:Googleマップのストリートビューなどを活用し、スーパーやコンビニ、駅からの道のりの雰囲気、夜間の明るさなど、周辺環境を事前にチェックしておきましょう。
これらのリサーチを済ませておくことで、不動産屋では「〇〇駅周辺で、家賃〇万円以内の1Kを探しています。特にオートロックは必須で、独立洗面台があれば嬉しいです。いくつか候補を絞ってきたのですが、プロの視点から見てどうでしょうか?」といった、具体的で密度の濃い相談が可能になります。
たった1件で理想の部屋を見つける不動産屋選びのコツ
不動産屋を何件も回る時代は終わりました。今は、いかに信頼できる1社を見つけ、パートナーとして二人三脚でお部屋探しを進められるかが、時間と労力を無駄にしないための鍵となります。
レスポンスが早く丁寧な担当者がいる会社を選ぶ
物件情報はどの不動産屋でもある程度共有されているため、最終的に満足のいく部屋探しができるかどうかは、担当者の質に大きく左右されます。 信頼できる担当者を見極めることは、不動産屋選びにおいて最も重要なポイントと言っても過言ではありません。
問い合わせ段階で見極めるチェックポイント
実際に店舗を訪問する前に、メールや電話での問い合わせ対応から、その会社の姿勢や担当者の質を見極めることができます。
- 返信の速さ:問い合わせから24時間以内に返信があるか。返信が早い担当者は、今後のやり取りもスムーズに進む可能性が高いです。
- 内容の的確さ:こちらの質問に対して、的確に答えてくれているか。定型文をコピー&ペーストしたような内容ではなく、個別の質問にきちんと向き合ってくれるかを確認しましょう。
- 物件のデメリットも伝えてくれるか:良い点だけでなく、正直にデメリットやリスクも伝えてくれる担当者は信頼できます。 例えば、「日当たりは良いですが、前の道が朝は少し混雑します」といった具体的な情報を提供してくれるかどうかがポイントです。
- 言葉遣いや誠実さ:顧客に対して丁寧な言葉遣いができるか、誠実な対応を心がけているかは基本的ながら非常に重要です。 契約を急かしたり、強引な営業をしたりする担当者は避けましょう。
おとり物件が少ないクリーンな会社を選ぶ
おとり物件とは、実際には契約できない好条件の物件を広告に掲載し、来店を促すための架空の物件のことです。 貴重な時間を無駄にしないためにも、おとり物件を扱うような不誠実な会社は最初から避けるべきです。
おとり物件を掲載する会社の特徴
おとり物件には、いくつかの共通した特徴があります。 ポータルサイトなどで物件を探す際は、以下の点に注意してください。
- 周辺の家賃相場と比べて異常に安い:「〇〇駅 家賃相場」などで検索し、条件が良すぎる物件は注意が必要です。
- 物件の住所が詳細に記載されていない:「〇〇市〇〇町」までしか記載がなく、具体的な番地が不明な場合は要注意です。
- 問い合わせると、すぐに来店を促される:「他にも問い合わせが殺到しているので、すぐにお店に来てください」などと、執拗に来店を急かす場合はおとり物件の可能性があります。
- 現地での待ち合わせを拒否される:「まずは店舗にお越しいただかないと物件の紹介はできません」など、内見の際に現地での待ち合わせを断られる場合も注意が必要です。
時間と労力を最小限に 賃貸探しの効率化テクニック
不動産屋を訪問する件数を減らし、賢く理想の部屋を見つけるためには、やみくもに行動するのではなく、戦略的に動くことが重要です。ここでは、時間と労力を最小限に抑えながら、満足度の高い部屋探しを実現するための具体的なテクニックを3つご紹介します。
希望条件は「MUST(必須)」と「WANT(希望)」に分ける
お部屋探しを始める前に、まずはご自身の希望条件を整理し、優先順位をつけることが最も重要です。 すべての希望を100%満たす物件は、なかなか見つからないのが現実です。そこで、条件を「絶対に譲れないもの」と「できれば欲しいもの」に分けることで、不動産会社の担当者も物件を提案しやすくなり、結果的に理想に近い物件に出会える可能性が高まります。
具体的には、以下のように条件を整理してみましょう。
分類 | 意味 | 具体例 |
---|---|---|
MUST(必須)条件 | これだけは絶対に譲れない、最低限クリアすべき条件 |
|
WANT(希望)条件 | MUST条件を満たした上で、できれば叶えたい条件 |
|
この作業を行うことで、自分の中で物件選びの「軸」が明確になります。 担当者に希望を伝える際も、このリストを見せることで、より的確でスムーズなコミュニケーションが可能になります。
内見は1日にまとめて予約する
気になる物件がいくつか見つかったら、内見のスケジュールを調整します。複数の物件を内見する場合は、可能な限り1日にまとめるのが効率的です。
1日にまとめることには、以下のようなメリットがあります。
- 移動時間と交通費の節約になる: 何日にも分けて内見すると、その都度移動時間と交通費がかかります。
- 比較検討がしやすい: 各物件の記憶が新しいうちに比較できるため、それぞれの長所・短所が明確になり、判断しやすくなります。
- 人気物件を逃しにくい: 内見を数日に分けると、その間に他の人に申し込まれてしまうリスクがあります。 スピーディーに判断するためにも、まとめて内見するのが得策です。
ただし、1日に詰め込みすぎると疲労で判断力が鈍るため、多くても1~3件程度を目安にするのがおすすめです。
オンライン内見を賢く利用する
「遠方に住んでいてなかなか現地に行けない」「仕事が忙しくて内見の時間が取れない」という方には、オンライン内見が非常に有効な手段です。 オンライン内見とは、スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使い、現地にいる不動産会社の担当者に物件を案内してもらうサービスです。